特集

2020.11.02

″if″に出会う、竹野酒造への旅

 京丹後市弥栄町の地で日本酒を醸す竹野酒造有限会社。竹野酒造は、丹後という地域やそこに住む人々との”繋がり・混ざり合い”を大切に、酒造りを続けてきた。6代目の杜氏である行待佳樹さんに竹野酒造の酒造りについて尋ねると、「今までずっと繋がってきている線の上にいて、"今"はその上の1つの点に過ぎない。そしてこの先も点を打っていって、線がずっと続いていく、そんなイメージ」と話す。そして今、行待さんがその線の先端で造る「畏怖 -if-」という名のお酒。それは一体どのようにして生まれ、何を表現するものなのだろう。「"if"っていうのは、圧倒的な自然を感じたりだとか…自然の中に、ある種の神を見出したりするときの感情で…」と表現する行待さんの、その世界観とものづくりへの想いに触れた。



竹野酒造の三兄弟で麹造りを行なう様子。
竹野酒造の三兄弟で麹造りを行なう様子。


"if"を感じた一皿との出会い、竹野酒造"if"の誕生

 2018年に、初めて"if"という感情を覚えた体験があったという。大阪に店を構える、ミシュランガイド三つ星獲得のレストラン"HAJIME"に行った時のこと。超一流の技術を持つシェフの米田肇さんを筆頭に、選び抜いた食材を使って料理を創るレストランだ。そこで食した一皿の料理に行待さんは衝撃を覚えた。目の前にある料理の中の1つ1つの食材全てから、それらを作り出す全ての人、技術、環境すべてを感じ取るような感覚になり圧倒されたという。「この料理に値する酒を、自分が造らなくては」そう思ったのが、ifが生まれる最初のきっかけとなった。
 その年の酒の仕込みが始まり、通常仕込むお酒を造るのと同時に、ifを造るため練ってきた構想を実現させるべく行待さんは通常の倍以上の手間と時間をかけて大切にifの仕込みを行なった。数時間置きに行なう検査や温度管理を緻密に徹底し、記録した。「今までなら考えられない、あり得ないことをしているんです。普通2か月程度で出来上がるものを、4か月かけて造ってるんですよ」と行待さん。それでも、思い返しながら話す行待さんは、その「大変さ」を訴えるような様子ではなく、むしろ逆に当然のことをしているかのような落ち着いた口ぶりだ。「それをしないと、あの一皿に並べられないんですよ」
 そして初めてifを搾った次の日、HAJIMEの米田シェフが竹野酒造を訪れ一緒にifを呑んだという。既存のお酒とは明らかに異なる、素材が出せる最大限の旨味。その味は間違いなく、竹野酒造の歴史に濃い点を打つものだった。



ふるさと納税に出品の、ifと特注グラスのセット。Ifの味わいを最大限感じることが出来る。
ふるさと納税に出品の、ifと特注グラスのセット。Ifの味わいを最大限感じることが出来る。


行待さん自身がデザインしたラベル。線一本一本にまでこだわり、想いを乗せた。
行待さん自身がデザインしたラベル。線一本一本にまでこだわり、想いを乗せた。


”世界”を知るきっかけとなった

 ifを造り上げたことは行待さんに新たな気付きをもたらした。一番の気付きは、自分が造ったものの”価値”。「大変な工程を経て造ったからこそ、値段を付けるときは”思い切った”という感覚でした。それでも、超一流のシェフが『このお酒にはその値段以上の価値がある』と言ってくれたんですよ」と、行待さん。嬉しい想いとともに、「それくらいのレベルのものを造っていかなくてはいけないんだ」という責任感を覚えた。それからの行待さんの酒造りは、”どこまで行けるか”という追求に追求を重ねる挑戦となった。
 行待さんがオーナーシェフに直接会って話し、試飲・試食を重ねて取引を始めた店でしか取り扱われていないというif。ヨーロッパやアジア等、海外の一流店でもその味は絶賛され、取引が進められているという。「一流のものを造ったことで、一流の人やモノとの縁が次々に生まれました。今まで見たことのない世界がたくさんあることが分かったんですよね」
 その"世界"というのは、本当に価値のあるもの、それらを生む人々、その人々が住む環境、環境を作ってきた長い歴史、という要素の繋がりのことであり、その繋がりが作り上げるもの。関わるもの全てが"混ざり合い"、竹野酒造で造られる”お酒”という形に昇華される。「私たちだけでお酒を造っているのでは無いですから。原料となるお米を栽培する人、道具を作る人、飲んでくれる人、、言い出したらキリがないですが、それら全てがあるからこそ出来ることなんです」と、行待さんは言う。



ifを置く京都四条河原町のレストランCAINOYAの一品「秋刀魚のミルフィーユとGVポルチーニ」<br />
「シェフ塩澤さんの人生が、ギッチリ詰まったお皿。素材の全てを使い、美味いレベルを越えた中にくる苦さは、大人って良いなって思う」と行待さん。
ifを置く京都四条河原町のレストランCAINOYAの一品「秋刀魚のミルフィーユとGVポルチーニ」
「シェフ塩澤さんの人生が、ギッチリ詰まったお皿。素材の全てを使い、美味いレベルを越えた中にくる苦さは、大人って良いなって思う」と行待さん。


ifを試飲する行待さん。「うん、美味いね」
ifを試飲する行待さん。「うん、美味いね」


"if"に出会う旅へ

 ifはオンライン等で手に入れることはできず、ふるさと納税への出品も竹野酒造での手渡しが条件となっている。「このお酒を手にして下さる方には、竹野酒造まで足を運んでもらい直接会ってお話して、私たちのものづくりを知って頂きたい」と話す行待さん。それだけ想いのこもった一品なのだ。
 知ってほしいのは 「味」だけではない。「人」「もの」「環境」、あなただけの"if"に出会える場所は、京丹後市にある。ぜひその旅へ出掛け、その世界に触れてみてほしい。



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