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2022.10.03

自然に囲まれて、家族と仲間とオンリーワンなキャンプ体験を

 四季折々の自然が美しい京丹後市には、いくつものキャンプ場が存在する。その中のひとつである京丹後森林公園スイス村(以下、「スイス村」)は、開業の1984年から年間を通して地域内外の多くの人々が訪れる、言わずと知れたアウトドアスポットだ。取材に訪れたのは初夏の暑い日だったが、標高約650mに位置する森林の中はとても涼しく爽やかな風が抜けていた。数種類の野鳥の優しいさえずりが絶え間なく聞こえるなか木漏れ日に当たっていると、日常の喧騒を忘れられ「ここでキャンプしてみたい!」と思うには十分な環境だった。


 京丹後市のふるさと納税では、スイス村のキャンプ場を利用できる「空に近いキャンプ場!京丹後森林公園スイス村 キャンプ場利用券」という返礼品を出品している。10m×10m区画を1泊利用できるもので、区画内に車も駐車可能。ファミリーや学生など幅広い方々に気軽に利用してもらい、京丹後の自然を楽しんでほしいという想いがある。

 2020年にスイス村の指定管理者となった株式会社エーゲルの森川哲己さんは、京都市内で旅館・ホテルや京町家の運営、事業再生を手掛けてきた経歴があり、2021年4月より京丹後市へ赴任し、スイス村事業の活性のため尽力している。2015年に廃校施設の有効利用ができないかと相談を受けて京丹後市へやってきたのが、森川さんと京丹後市の最初の縁だった。「最初に来た当時はここへ住むとは思ってもいませんでしたが、今はこの素晴らしい自然環境を活かしてお客様に喜んでもらいたいと頑張っています」と語る森川さんに、お話を伺った。






京丹後森林公園スイス村 支配人 森川哲己さん
京丹後森林公園スイス村 支配人 森川哲己さん





自然に囲まれたスイス村の施設
自然に囲まれたスイス村の施設






スイス村を、求められる施設に変えたい


 2021年4月にスイス村の運営を引き継いだ森川さんが従業員と共にまず取りかかったのは、施設の清掃・整備だった。キャンプ場には水溜りや凹凸がたくさんできていたため、土を入れたり石を敷いたりして水捌けを良くし、埋まってしまっていた道路沿いの溝を掃除して雪解け水の流れを整えて、利用者が安心して過ごせる環境を整えた。コテージやバンガローなどの宿泊施設も、今あるものをより良く使用してもらえるようにと、丁寧に隅々まで掃除した。「4月から6月までの3ヶ月はそういった作業ばかりしていました。重労働で大変でしたが、必要なことでしたので徹底的にやりましたね」と森川さん。

 7月に入るとキャンプ場利用の問い合わせが来るようになり、ついに夏休みの期間、引き継ぎ以降初めての利用客を迎えることができた。その利用客の様子を見たり感想を参考に、2022年に本格的に始動させるべく再び改善に取り組んだ。

 そして2022年のゴールデンウィークには、土日には1日300〜350人、述べ1800名の利用者を迎えることができた。「新型コロナの規制明けでやっとオープンできたキャンプ場の予約も埋まり、楽しんでいるお客さんの様子を見た時、嬉しかったし楽しかったです」と森川さんは振り返った。






自然に囲まれ野鳥のさえずりが響く、キャンプ場。
自然に囲まれ野鳥のさえずりが響く、キャンプ場。





 





 










「オリジナルな使い方をしてほしい!」スイス村のキャンプ場


 森川さんたちがスイス村のキャンプ場の整備を行ない、以前は利用していなかった空き地も整えたことで、キャンプができる区画はもともと52区画だったところ70区画に増やした。キャンプサイトが埋まったとしてもよりゆったりした空間で過ごしてもらえるよう、以前よりも広めの10m×10mを確保できるように仕切った。テントやテーブルなど、キャンプに必要な道具のレンタルもでき、身軽に利用できることも魅力。車の乗り入れもでき、広々と快適に過ごすことができる空間だ。

 「家族や学生さんの仲間同士はもちろん、バイクに乗る方やお一人様も気軽に利用してほしいと思いますね。工夫して上手く使ってもらえたらとても嬉しいです」と話す森川さん。大人数でのキャンプ場貸切や、貸し切った上でのイベントの開催にも使ってほしいとも考えている。ゆっくりと自然の中を散策して、さまざまな生き物や植物を観察することもでき、少し日常から離れ自然に触れてリフレッシュしたい都会からの利用者に特におすすめだ。






ゲレンデ広場
ゲレンデ広場





 





2022年7月運営スタートのアウトドア×音楽「BEAT CAMP」ライブハウス
2022年7月運営スタートのアウトドア×音楽「BEAT CAMP」ライブハウス










新しい施設、野外イベントも招致。これからのスイス村


 キャンプ場から数分、車でさらに登ると、2019年までスキー場として運営していた「ゲレンデ広場」に到着する。森川さんはこのエリアでも人が集まる仕組みを仕掛けていこうと考えている。目玉のひとつは、神戸市のライブハウス「神戸 VARIT.」の運営による、アウトドア×音楽をコンセプトにした「BEAT CAMP」という屋外ライブハウスだ。6月上旬のオープニングイベントでは、関西、関東から6組のミュージシャンが集結し、府内外から大勢の観客が足を運んだ。「広くて音が出せるこの広場の新しい利用方法が生まれて嬉しいですね。ここからも今後たくさんの繋がりができて賑わってくれたら嬉しいです」と森川さんは期待を寄せる。

 また、リラックスできる自然の環境を活かし、グルメやヨガのイベントを招致する計画も既に進行中だ。昨年開かれたイベントでも、昼間のイベントからそのままキャンプで一晩を過ごし、翌朝まで遊びやヨガを思い思いに楽しむ姿が見られた。年齢や目的を問わない“3世代で楽しめるキャンプ場”を目指し、外部との連携を図りながら充実した施設にしていく。

 さらに、冬にはゲレンデ広場にて「スノーどんどんパークinスイス村」を開場。初オープンとなった2021〜2022年のシーズンには、主に地元住民が12週間で述べ2500人も来場。スノーモービルで山頂まで利用者を送り届け、スキーやスノーボード、スノーチューブを楽しんでもらうスタイルを新たに開拓した。「久しぶりにスイス村で滑ることができて嬉しい」「子どもたちが雪遊びを思い切り楽しめた」との嬉しい声が聞こえた。






ゲレンデ広場の斜面。かつてはスキー場として運営されていた。
ゲレンデ広場の斜面。かつてはスキー場として運営されていた。





京丹後の新しい可能性になる施設へ


 昨今、キャンプをはじめとするアウトドアアクティビティがブームになっている中、京丹後の良さを存分に堪能できる“ここにしかない”施設になるよう、今後も尽力していく。「昼間は海水浴へ行き、夜は涼しいスイス村でキャンプ」という動線も、京丹後ならではの楽しみ方として提案したい。

 また、地域内外からのイベント招致や自主企画を通して、若い人がやりたいことをできたり、人と繋がれる場として活かしたいとの強い想いが森川さんにはある。「こんな使い方ができる、スイス村はもっと良くなれる、という可能性は私たちも探しているところです。アイデアを頂けるようこちらからも声をかけていきますし、私たちもできる限りの協力をしたい」と森川さんは意欲的だ。ぜひ自然の中で思い出を作りに、そしてたくさんの出会いに期待して、京丹後森林公園スイス村の訪れてみてほしい。






京丹後森林公園スイス村の従業員のみなさん
京丹後森林公園スイス村の従業員のみなさん