特集

2020.11.02

新鮮な松葉ガニと、温かなまちづくりでおもてなし

 京丹後市網野町を中心に、旅館業・土産物店・観光農園などさまざまなサービスを展開している北畿リゾート株式会社。同社が拠点としている網野町には、「夕日ヶ浦」と呼ばれる海岸がある。夕日が海に沈んでいく美しい景観がその名の由来で、海岸にはいつもサンセットを眺める観光客の姿がある。この地で生まれ育った同社取締役の西途(さいと)潤さんは、地域のさまざまな取組に力を入れていて、「京丹後市といえば夏は海水浴、冬はカニ、というイメージがあると思いますが、四季を通して"行きたい"と思ってもらえる観光地にしたい」と語る。



売り場一面のゆで松葉ガニは、圧巻の光景。
売り場一面のゆで松葉ガニは、圧巻の光景。


強みは鮮度。お客様への最高のおもてなしを

 松葉ガニ人気が始まって二十数年、毎年改善やアイデアを積み重ね、変わらず選んでくれるお客様を増やしてきた北畿リゾート。自社で営む土産物店「かに一番」では、毎年11月6日のカニ漁解禁以降、毎日多くのカニを仕入れ・販売している。お店の付近の道路にカニののぼり旗が並ぶ風景も、地元の人々に冬の訪れを告げる風物詩となっている。
 「うちの自慢はやっぱり、店頭に設置しているカニ用の大きな水槽。専門の担当者がセリで仕入れたカニを、持ち帰ってきてすぐにその水槽に保管します。そこからお客様の希望に合わせてカニを選んで、活けガニもしくは茹でガニにしてすぐに発送しているので、鮮度は抜群です」と西途さん。大きな水槽の中で動く大きなカニや、店頭にズラリと並んだ鮮やかな赤色の茹でガニは、圧巻の迫力だ。
 カニの仕入れは、自社の担当者がせり人と共に漁港へ行き、一匹一匹を信頼できる目で見て判断して競り落とすことにこだわっている。「だからこそ自信を持ってお客様に提供できるし、それがお客様への何よりのおもてなしです」と話す。



セリの様子。漁獲期には毎日多くのカニが水揚げ・取引されている。
セリの様子。漁獲期には毎日多くのカニが水揚げ・取引されている。


活きたカニをいろいろな食べ方で楽しんで!

 北畿リゾートの一番のおすすめ商品は活けガニ。活けガニの良さは何と言っても、少し手を加えるだけで色々な楽しみ方ができることだ。焼きガニ、カニ鍋、刺身、甲羅焼きなど、お好みに合わせてアレンジができる。新鮮な身を頬張ると出汁や旨味が一気に広がり贅沢な一品だ。商品にはカニのさばき方の説明書も同梱してあり、「家族みんなでカニを囲んで、ワイワイと楽しんで食べてほしい。それもまたカニが美味しくなる理由のひとつだと思います」と西途さんは笑顔で話す。それぞれの食べ方に良さがあり、自分の好きな食べ方を探ってみるのも楽しみの一つになりそうだ。



活けガニの刺身。詰まりの良い身に力強さを感じる。
活けガニの刺身。詰まりの良い身に力強さを感じる。


観光のまちとして、地域全体が連携していく

 松葉ガニをはじめとし、長年観光のまちとして栄えてきた地域だが、数年前までは同業他社との協力や、地域の人々との連携の動きは少なかったと話す西途さん。ところが近年各社で代替わりが進んだり、「海の京都」事業が始まったことがきっかけで話し合う機会が増え、「ライバル」としてだけでなく「仲間」としての認識が互いに出てきたという。
 「まずは外国人のお客様向けに英語表記のものを作ろう」「日本人のリピーターのお客様には毎年良い変化を感じてもらえるように。新しいお客様には初めての体験や驚きを提供できるように」お客様や地域の未来のことを考え、さまざまな意見を出し合い、出来ることから形にしてきた。今では人気の撮影スポットとなっている夕日ヶ浦海岸のブランコ「ゆらり」や、2020年に新しく作った「YUHIGAURA」モニュメントもそのひとつ。「日本海側ならどこにでもある風景かも知れないけど、この地に来たという思い出を残してもらえるようにと願って作ったものです」と、西途さん。



人気の撮影スポット、「ゆらり」ブランコ。一年を通して写真撮影の列ができる。
人気の撮影スポット、「ゆらり」ブランコ。一年を通して写真撮影の列ができる。


西途さんが子どもの頃に友達と釣りに通った浜詰漁港。この日も釣り人がゆったりとした時間を楽しんでいた。
西途さんが子どもの頃に友達と釣りに通った浜詰漁港。この日も釣り人がゆったりとした時間を楽しんでいた。


自分がこの地域を好きだからこそ

 子どもの頃は友達と海水浴や釣りをしに海に通ったり、近所で秘密基地を作ったりと、自然の中で目一杯遊んで育った西途さん。今はこの地域も、高齢化が進み子どもが少なくなったり、お店が閉まったりして寂しくなってきているという。「うちの会社だけが発展しても仕方がないんです。地域全体が良くならないと。いつも明るく人に優しい地域にしたい。そのためには、地域の皆さんの協力が絶対に不可欠です」
 西途さんが一緒に取り組む仲間と共に今後実現したいと思っていることの1つは、提灯を使った「まちあかり」の取組。夜になると住宅の明かりだけになってしまい暗くなるため、観光のお客様が夜も町を歩いて散策できるように、地域の子どもたちが安全に登下校したり遊んだりできるように、という思いがある。「地元住民の一体感が出て、それが伝わるような空気が生まれたら、お客様は『また帰ってきたい』と思ってくれるはず」と西途さんは語る。



浜詰漁港の海面を覗いてみると、驚くほど青く透明な海面の奥に、可愛らしい魚たちがたくさん集まっていた。
浜詰漁港の海面を覗いてみると、驚くほど青く透明な海面の奥に、可愛らしい魚たちがたくさん集まっていた。


京丹後市を心と体でまるごと体験してほしい

 季節ごとに移り変わる旬の海産物、野菜、フルーツ、自然の景色。それらを存分に楽しんでもらえる環境づくり・コンテンツづくりを行っていきたいと話す西途さん。地域の人々や組織と連携しながら、地域全体が発展できるまちづくりを今後も積極的に模索し、実行していく。「記憶に残るような旅を、この京丹後市でしてほしい。その環境をより良くしていくことが使命だと思っています」そんな思いを持った人々がつくっていく今後の京丹後の海辺の変化から、目が離せない。



従業員の皆さんが、新鮮なカニを丁寧にお届けします。
従業員の皆さんが、新鮮なカニを丁寧にお届けします。


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