
2022.07.22
「京丹後一愛される魚屋になる」橘商店
海に面する京丹後市網野町に店を構える株式会社橘商店は、毎朝9時の開店と共に賑わい始める。「今日は何の魚がええんだ?」との常連客に元気な声で応える店員さん。店内には、水揚げされたばかりの魚はもちろん、刺身や焼き魚、魚のフライ、揚げたてコロッケなどの惣菜までずらりと並ぶ。
橘商店が理念として掲げるのは「京丹後一愛される魚屋橘商店」。平成3年の創業時から現在に至るまで、変わらず「美味しい魚をできるだけ安く提供すること」を一番に考え、仕入れや店舗運営を行なってきた。3世代に渡って橘商店に通うお客さんも多く、地域にとってなくてはならない店であることは言うまでもない。
「丹後の魚はやっぱり旨いんですよ。それをたくさんの人に食べてほしいんです!」と2代目店長の吉岡高博さん。橘商店が愛される理由と、これからの展望についてお話を伺った。


店頭に並ぶ刺身と惣菜。どれも捌きたて・揚げたてで地域のお客さんに愛される味。
幼い頃から慣れ親しんだ、魚を捌いて食べるということ
橘商店は、吉岡さんが小学生だった頃に吉岡さんの父が創立。幼い頃から店内で両親や従業員が働く姿を見て育った吉岡さん。自身も学校が終われば釣り竿を持って海へ走り、釣った魚は親に教わりながら自分で捌いて食べることが何よりの楽しみで、自然から命をいただくということが常に生活の中にあった。高校卒業後は調理の専門学校を経て、神戸にあるホテルで和食の料理人として3年間働いた。その後、20代半ば頃にはなんと世界を巡る客船のシェフとして乗船し、多国籍な同僚と共に乗客に食事を提供しながら世界3周を果たした。帰国後に結婚し、2012年に家業を継ぐためUターンした。
「『家業を継ぐんだ』という責任感があったと言うよりは、小さい頃から当然のようにすぐそばに海があって魚がいる環境だったので、今は仕事として頑張ってますが、昔からの遊びの延長のような感覚ですね」と吉岡さん。


橘商店と地域とのつながり
橘商店は地物海産物の店舗販売から始まり、地元の旅館へ届ける刺身の舟盛りや卸しを中心としていたが、松葉ガニを目的とする観光客が増えたことから、地元の顧客とのバランスも大切にしながらニーズに合わせ、少しずつ業態を変化させてきた。春から夏にかけてのシーズンにはバーベキューですぐに使える食材を店舗に用意し、冬には松葉ガニの解禁と共にカニの仕入と販売に力を入れている。
毎日行なう魚の仕入れは、昔から仲買人を入れずに直接漁港に買いに行く。長い付き合いの信頼する漁師さんたちから「こんな魚が揚がってるよ!」と直接情報を共有してもらい、香住から舞鶴まで広域に渡って仕入れに走る。中には趣味で釣った魚をお店に持ってくる人もいる。橘商店をとりまく人たちのちょっとした気遣いや協力によって、"美味しい魚をできるだけ安く"提供することができている。
また、FacebookやInstagramを活用し、遠くにいるリピーターや丹後地域にゆかりのある方へ向けた情報発信にも力を入れるようになった。「仕入れの内容や店舗の様子などを写真や動画で載せると、一般の方はなかなか見ることがない風景だからか、とても喜んでもらえるので続けています。僕も楽しいですしね!」と吉岡さん。

ふるさと納税に出品の、「地元魚屋セレクト海鮮BBQ ロブスター入り豪華8種の干物・魚介セット」

焼き始めるとすぐに、香ばしい海鮮のいい香り。(セットに野菜は付きません)
この夏、楽しんでほしい!「地元魚屋セレクト海鮮BBQ ロブスター入り豪華8種の干物・魚介セット」
自宅でのバーベキューや友人とのキャンプにお薦めしたいのが、橘商店が厳選する海鮮BBQセット。ハタハタ、カレイ、フグ、スルメイカ、ホタルイカ、ホタテ、ブラックタイガー、ロブスターの8種が4〜5 人前、合計2kg以上も入ったボリューム満点の一品だ。一度に全部食べられなければ冷凍庫で保存ができる。全てが下処理済みなので、フライパンで焼くだけでも十分美味しく食べられるのも嬉しいポイント。
吉岡さんが自宅で子どもたちと海鮮のバーベキューを楽しんでいたことをきっかけに、BBQ用の海鮮食材を詰め合わせたものを店舗でも販売しはじめた。吉岡さん自身が美味しいと思うもの、入っていると喜んでくれると思うものを厳選して入れている。「中でも一番のおすすめはハタハタですね。焼くと脂のジューシーさが増して、ビールとの相性もバッチリです!」とおすすめしてくれた。

地元の常連客で賑わう店内。
橘商店を、京丹後の観光名所にしたい!
「うちが売っている魚もですし、野菜でもお肉でも、四季を通して京丹後には美味しいものがいっぱいあります。とにかくそれを食べて欲しいです。食を通して京丹後のことをもっと知って欲しいですね」と吉岡さんは話す。これから橘商店が目指すのは、道の駅のような"人が集まる魚屋"にすること。魚を買いに来るだけではなく、売りたい野菜を持ってくる人がいたり、ちょっと休憩に立ち寄る人がいたり。地域の人々にもっと慣れ親しんでもらえるお店にしたいのだと吉岡さんは語る。
「いつか、観光名所みたいな存在になりたいですね!橘商店を目的に丹後地域内外からたくさんの人が来てくれたら最高です。そのために明日からも毎日、美味しい魚と惣菜を並べて、従業員の仲間と元気にお客さんを迎えます!」京丹後を訪れる時は、旬の味を求めに元気いっぱいの橘商店にぜひ立ち寄ってみてほしい。

橘商店のみなさんが元気に迎えてくれる。